「お客様は神様」という間違った呪縛

「そもそも誤用なんですよ!」では今さらな感じがしますので、おかしいと思ったきっかけや持論などを交えつつ風潮に一石を投じたいと思います。
お客様は決して神様ではない


今から2年ほど前、僕は「お客様は神様」という言葉に違和感を覚え始めました。

その時期はちょうど経済学をかじり出した頃で、学術的な視点で見た市場や社会の縮図、問題を理解することに躍起になっていました。
人の弱さとずるさを知り、心のメカニズムを学び「他人の良心への過信はシクミの欠陥へと繋がり、多くのトラブルを生む」というひとつの真理にたどり着きました。
そして、いつしか「お客様は神様ではない」が、僕のビジネスマンとしてのポリシーとなりました。

曲解された「お客様は神様です」を紐解く

消費者が笠に着るためにこの言葉を用いるのは、自分に都合の良い選民思想をでっち上げているのと同じで、とても恥ずかしいことです。
サービス業が滅私奉公を美徳とするためにこの言葉を用いるのも、突き詰めれば売り上げとリピート率に回帰するだけの罪深い思考停止です。
かつての僕も多分に漏れず、この常套句に踊らされ、お客様を畏怖する残念な人間でした。

知名度と耳当たりの良さを併せ持つこの言葉は強力なため、反論には知恵と勇気が必要です。
理不尽を強いられるような差し迫った状況でもない限り、ムキにならずスルーするのが得策です。

知る人ぞ知る有力なルーツ:三波春夫氏

「お客様は神様です」をテレビで言い始めたのは三波春夫氏で、それをパロディでレッツゴー三匹が広めた説が有力なようです。
この経緯から諸悪の根源と思われがちな三波氏ですが、公式サイトにこの言葉に対する本来の意味と誤用への憂慮がつづられています。

「歌う時に私は、あたかも神前で祈るときのように、雑念を払って、心をまっさらにしなければ完璧な藝をお見せすることはできないのです。ですから、お客様を神様とみて、歌を唄うのです。また、演者にとってお客様を歓ばせるということは絶対条件です。だからお客様は絶対者、神様なのです」

公式サイト(「お客様は神様です」について)より引用

当事者の心境を察するに、複雑な想いです。

好ましいスタンスについて考える

なら、どのような位置付けであるべきか一意見をまとめました。

原理原則をお互いが認識する

消費者はお金を、生産者はサービスを、それぞれが納得して交換している―つまり対等な立場の取引であることを忘れてはいけません。
ここでの対等とは、自分が提供する対価に自信を持ちながら相手を尊重することです。

へりくだった態度の内訳

「対等な立場ならフランクに接すれば良いのでは?」
そんな疑問も生まれるかと思います。

社会の常識と言えばそれまでですが、あえて考えるならば

  1. 丁寧な態度もサービスの一環
  2. 日本特有の敬意のあらわれ
  3. 2を踏襲した大人としてのマナー

の3つに分類されます。
偉さや神様であろう何かを裏付けるものではないのは確かです。

まとめ

  • お客様は神様ではなく、一人の人間である
  • 売り手と買い手に「どちらがエライか」はなく、どちらが欠けても困る
  • 丁寧な態度に「自分がエライ」と錯覚するのは、幼稚で恥ずかしいこと

取引相手に横柄な人が、この記事に目を通して考えを改めるかどうかは分かりません。
ただ、知らなかっただけの人に意味が伝わり、胸を張ってビジネスに勤しむきっかけにでもなれば、と書いてみました。

より実用的な対策編を構想中ですので、楽しみにしていただけると幸いです。

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